1|企業研究ノートとは?
「調べる」ではなく「自分で整理する」ツール
企業研究ノートとは、企業の情報を“書き写す”ためのものではありません。
本来の目的は、「情報を自分の言葉で整理し、志望動機につなげること」にあります。
説明会やインターンで得た情報を、ただまとめるだけでは「企業紹介メモ」で終わります。
しかし、
“なぜこの会社に惹かれたのか?”
“自分のキャリアとどう関係するのか?”
まで書き込むと、それは“自己分析と業界理解をつなぐ武器”になります。
2|企業研究ノートの基本構成(テンプレート付き)
以下のテンプレートを使えば、どの業界でも共通して使える「企業研究ノート」が作れます。
📘 企業研究ノート構成テンプレート
| セクション | 記入内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 企業概要 | 社名/設立/業種/本社所在地/社員数 | まずは客観的な情報を簡潔にまとめる |
| ② 事業内容 | 主な事業・製品・サービス・顧客層 | “何を”“誰に”提供しているかを明確に |
| ③ 業界ポジション | 市場シェア・競合他社・強み | 三井不動産vsオープンハウス、楽天vsサイバーなど比較意識を |
| ④ 経営方針・理念 | ミッション・ビジョン・スローガン | 「理念=会社が社会に約束すること」 |
| ⑤ 最新トピックス | 決算情報・新事業・海外展開・DX化など | “今何をしているか”を押さえる |
| ⑥ 社風・カルチャー | HP・口コミ・社員座談会から読み取る | 「どんな人が多いか」「評価されるタイプ」 |
| ⑦ 志望動機メモ | 自分が惹かれた理由/共感した点 | 他社との違いを自分なりに言語化 |
| ⑧ 自分との接点 | 自分の経験・価値観・強みとの共通点 | ES・面接に直結するパート |
| ⑨ 疑問・確認したい点 | OB訪問や面接で聞く質問を整理 | “深掘りポイント”をリストアップ |
🧠 書き方のコツ
- ノートは1社1ページが理想(手帳やGoogleスプレッドシートもOK)
- 公式サイト → IR情報 → 就活サイト → 社員インタビュー の順に情報収集
- 「競合比較」欄を設けて差別化要素を書き出すと理解が深まる
- 「感情メモ」を残しておくと後で志望動機に活かしやすい
例:「理念がシンプルで共感」「社員の話し方が明るく、文化に惹かれた」など
3|企業研究を“他の学生より一歩深く”するコツ
① IR資料(決算情報)をチェック
IR情報は企業の「本音」。
新規事業、経営課題、今後の方向性など、説明会では語られない内容が見えます。
② 社員インタビューから“キーワード”を抽出
企業の人材観が現れる部分。
「挑戦」「誠実」「現場力」「お客様第一」など、繰り返し出てくる単語を分析するとカルチャーが読めます。
③ 競合他社を“3社比較”
1社だけ調べると視野が狭くなります。
「この会社は他と何が違うのか」を言語化できる学生は、選考で印象が強いです。
面接官:「他社ではなく当社を選んだ理由は?」
あなた:「同業3社を比較した中で、御社だけが“〇〇”を明確にしていたからです。」
この一言に説得力が宿ります。
4|OB・OG訪問は“企業研究の裏付け”を取る場
OB訪問は、企業研究で見えなかった“リアル”を掘り下げる絶好の機会です。
ネット情報と実際の職場にはギャップがあるため、自分の目と耳で確かめることが重要です。
▶ OB・OG訪問の目的を明確にする
| 目的タイプ | 狙い | 質問の方向性 |
|---|---|---|
| 業界理解型 | 業界構造・成長性を知る | 「今後この業界で伸びる領域はどこですか?」 |
| 職種理解型 | 自分に合う働き方を探す | 「1日のスケジュールを教えてください」 |
| 企業理解型 | 社風・カルチャー・実際の業務を聞く | 「入社前とギャップを感じた点は?」 |
| キャリア理解型 | 先輩のキャリアパスを参考にする | 「入社してから何年で今のポジションに?」 |
5|OB・OG訪問で聞くべき質問リスト
以下は、目的別に整理した“実践で使える質問リスト”です。
💡 ① 仕事の実態を知る質問
- どんな一日の流れで仕事をしていますか?
- 仕事の中で一番やりがいを感じる瞬間は?
- この仕事で一番大変だと感じることは?
- チームで動く機会と個人で動く機会のバランスは?
💡 ② 会社の雰囲気・カルチャーを知る質問
- 社内のコミュニケーションはどんな雰囲気ですか?
- 評価される社員の特徴を教えてください。
- 上司との関係はフラットですか?距離感がありますか?
- 若手が意見を出しやすい環境ですか?
💡 ③ 入社前後のギャップを知る質問
- 入社前に想像していた仕事との違いはありますか?
- 学生時代にやっておけば良かったことは?
- 新入社員が最初につまずくポイントは?
💡 ④ キャリア形成に関する質問
- どのようにキャリアアップをしてきましたか?
- 異動・転勤はどれくらいの頻度ですか?
- 今後の目標や挑戦したいことを教えてください。
💡 ⑤ 選考・就活に関する質問(注意して聞く)
- 面接で評価されるポイントは何だと思いますか?
- この会社の志望動機で意識すべき点はありますか?
- 逆に、あまり良くないと感じる学生の特徴は?
※あくまで「選考対策ではなく、理解の延長」として聞くのがマナーです。
6|OB・OG訪問後のフォローで印象を残す
訪問後は、24時間以内にお礼メールを送るのが基本です。
📩 お礼メールの例文
件名:本日のOB訪問のお礼(○○大学 ○○)
本日お忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。
〇〇様から伺った「現場での挑戦を通じて成長できる環境」というお話が印象的でした。
本日の学びを今後の企業研究・就職活動に活かしていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
○○大学 ○○ ○○(メール署名)
このような一文で、誠実な印象を残すことができます。
7|編集部アドバイス:情報を「自分の言葉」に変える
企業研究でもOB訪問でも、集めた情報をそのまま話す学生は多いです。
しかし、採用担当者が評価するのは “あなたの考え” です。
「A社の強みは○○です」ではなく、
「A社の強みである○○が、自分の△△という価値観に合っている」
という形で、自分の経験・思考・価値観に結びつけましょう。
それが、「情報を持っている学生」ではなく、
「自分のキャリアを語れる学生」への第一歩です。
8|まとめ:企業研究は“戦略”ではなく“習慣”
業界研究・企業研究・OB訪問――
これらは「就活のため」だけの活動ではありません。
社会人になってからも、
顧客・取引先・同業界を理解する力として生きていきます。
企業研究は、“社会を理解する基礎力”。
だからこそ、早く・深く・継続的に行うほど、あなたの未来を支えてくれます。
🪄 編集部おすすめの活用法
- 📗 「企業研究ノート」テンプレートをGoogleスプレッドシート化
- 🗂 「OB訪問リスト」をExcelにまとめてフィードバック管理
- 💬 面接前に「訪問メモ」を読み返して志望動機の再確認
“聞いて終わり”ではなく、“考えて活かす”。
これが、就活の質を上げる最大のコツです。

















