まず簡単に会社概要をおさえると、サイバーエージェントは1998年設立。
主な事業領域として、インターネット広告、メディア・IP(Abemaなど)、ゲームを三本柱としています。
広告事業を基軸に成長資金を確保しながら、メディア・ゲーム分野へ積極的な投資をしてきた構図が特徴です。
決算概況:直近5年の業績推移
下表は、サイバーエージェントが公開している「5年業績推移」データをもとに、売上高・営業利益・経常利益などをまとめたものです。
| 会計年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2020 | 478,526 | 33,839 | 33,822 |
| 2021 | 666,149 | 104,070 | 104,382 |
| 2022 | 709,923 | 67,552 | 67,902 |
| 2023 | 719,451 | 22,351 | 22,710 |
| 2024 | 801,236 | 40,083 | 39,715 |
トレンドのポイント:
- 売上高は、2020 → 2024 の間でおおむね成長傾向にあります。特に2023 → 2024 は大きな伸び。
- 一方で営業利益・経常利益は波が大きく、2023年度は利益が落ち込んだ期があり、2024年度で多少の回復を見せています。
- 事業の混合構成を背景に、広告・ゲーム・メディアそれぞれの業績変動が全体を揺らしている様子が伺えます。
このような上下する利益構造において、安定成長をどう確保するかが今後の課題と言えそうです。
2025年(2025年9月期)の最新動向:上方修正・Q3決算
通期予想の上方修正(2025年9月期)
2025年8月、サイバーエージェントは 通期業績予想を大幅に上方修正 しました。
- 売上高予想:8,200億円 → 8,500億円
- 営業利益予想:420億円 → 660億円
- 経常利益予想:同上
- 最終利益予想:210億円 → 310億円
利益面を57%拡大する見込みとし、期初予想から大きな修正をかけた形です。
第3四半期累計(2024年10月~2025年6月)業績
- 売上高:6,319.93億円(前年同期比 +5.8%)
- 経常利益:486億円(前年同期比 +35.6%)
- 3Q累計最終利益も大幅増、2期連続の増益。さらに、通期予想の上方修正を発表。
このように、直近では 売上・利益ともに改善傾向 が見られ、修正幅も大きい点が注目されます。
部門別の動きと注目ポイント
決算説明会や収益報告から見えてくる、サイバーエージェント内部の動きをいくつか紹介します。
▪ 広告事業(インターネット広告)
- 広告売上高は安定して成長。最近では 年率2桁成長 を示す四半期もあります。
- ただし、広告業界全体の競争激化・予算圧力も強く、利益率改善が課題となっているようです。
▪ メディア事業 / IP事業(Abema 等)
- メディア・IP事業は長期投資フェーズの側面が強く、短期的には収益に貢献しづらい性質。説明会でも赤字・投資負担が語られています。
- ただし、IP創出やグローバル展開を視野に入れ、将来的成長ドライバーとして位置づけられているようです。
▪ ゲーム事業
- ゲーム部門はタイトルのヒット・不振の影響が直に業績に反映されやすい性質を持っています。
- 最近ではヒットタイトルの投入・リリースタイミングなどが業績上方修正の原動力と報じられています。
強み・リスク・今後の注目点
✅ 強み
- 事業ポートフォリオの複合性
広告・メディア・ゲームの三事業を持つことで、ある事業が低迷しても他事業で補う可能性がある。 - 成長キャピタルの確保力
広告累積利益を投資源とし、メディア・IPに先行投資できる体力を保ってきた。 - ブランド力・ネットワーク
Web広告業界での強い存在感、提携・ネットワークを持つ点。 - 迅速な修正・柔軟性
通期の大幅上方修正など、外部環境変化に対して臨機応変に対応する姿勢が見える。
⚠ リスク・留意点
- 利益の振れ幅の大きさ
特に営業利益・経常利益のブレは大きく、安定性には懸念が残る。 - メディア事業の収益化難
投資フェーズが長いため、収益化の道筋が明確に見えないことが指摘される。 - ゲームヒット頼み
ゲーム事業の成功・失敗が利益に与える影響が大きい構造。 - 内部統制・ガバナンス
過年度の会計修正のリスクも実際に表面化しており、信用管理・内部統制強化が鍵。
WEBマガジン風 総括(編集部視点)
サイバーエージェントの直近決算を振り返ると、利益の揺れ動きはあるものの、2025年は 通期予想の大幅上方修正 を通じて、成長への自信を金融市場に印象づけた年だと言えるでしょう。
広告というキャッシュカウを中心に、メディア・ゲームの融合投資を続けながら、次の成長の柱を育てようという企業の戦略姿勢も窺えます。














