1|業界の現状とトレンド
自動車業界は今、100年に一度といわれる大転換期を迎えています。
EV(電気自動車)・PHEV(プラグインハイブリッド)・自動運転・コネクテッド。
かつて“ハード産業”だった自動車が、“テクノロジー産業”へと進化しつつあります。
また、国内市場の人口減少・若年層の車離れを背景に、
各社は海外市場、特に東南アジア・欧州・北米・中国を軸に戦略を再構築中。
「EV化 × ソフトウェア化 × グローバル再編」
この3つの視点が、2026年卒が理解すべき業界キーワードです。
2|主要自動車メーカーの比較表
| メーカー | 売上高(2023年度) | 主力領域 | 強み | グローバル戦略 | 電動化の方向性 |
|---|---|---|---|---|---|
| トヨタ自動車 | 約45兆円 | HV・FCV・EV | 圧倒的技術力と生産体制、販売網の強さ | 北米・アジア中心。2030年にEV35車種投入予定 | 多様なパワートレイン戦略(EV+HV+水素) |
| 日産自動車 | 約12兆円 | EV・PHEV・SUV | 早期からEV開発(日産リーフ)で先行 | ルノー・三菱とのアライアンス連携 | EV新モデル「アリア」で高級路線を拡大 |
| ホンダ | 約18兆円 | 二輪・四輪・航空・ロボティクス | 多角化・研究開発力 | GMと提携し北米EVを共同開発 | 2040年に全車EV化を宣言 |
| マツダ | 約4兆円 | コンパクト・SUV・高級車 | デザインと走行性能(人馬一体) | 欧州・北米市場でブランド確立 | 電動化+内燃機関の共存を志向 |
| スバル | 約4兆3,000億円 | SUV・AWD・安全技術 | アイサイトなど安全分野に強み | 北米販売比率70%超 | EV「ソルテラ」で電動化本格化 |
| 三菱自動車 | 約2兆8,000億円 | SUV・PHEV・軽EV | 走破性・悪路性能・PHEV技術 | 東南アジア・オセアニアが主戦場 | EV+PHEV両輪で新興国市場を攻める |
(出典:各社IR資料・2024年5月決算時点)
3|三菱自動車の立ち位置 ― 「挑戦のDNA」を継ぐブランド
三菱自動車は、他社が都市型EVに注力する中で、
“走破性 × 電動化”という独自路線を歩んでいます。
SUVやピックアップ、PHEVなど“実用と冒険”を両立する車種が多く、
アジア・オセアニア・中南米市場で圧倒的なブランド力を誇ります。
代表モデル「アウトランダーPHEV」は、
世界初の量産プラグインハイブリッドSUVとして知られ、
今や世界30万台超の販売実績を持つベストセラー。
トヨタが“総合力”、日産が“技術力”、ホンダが“開発力”なら、
三菱は“走破力と探究心”で勝負するメーカーといえます。
4|トヨタ・日産・ホンダとの違いを整理
| 比較軸 | トヨタ | 日産 | ホンダ | 三菱自動車 |
|---|---|---|---|---|
| 企業規模 | 国内最大・世界首位級 | 中堅上位・グローバル再建期 | 独立志向の技術型メーカー | 小規模だが機動力あり |
| 技術戦略 | HV・FCV・EVを並行 | EV先行・アライアンス強化 | 電動化×多角展開 | PHEV×SUV特化 |
| 地域戦略 | 北米・中国・アジア | 欧州・北米・ASEAN | 北米・インド・欧州 | 東南アジア・オセアニア |
| ブランドイメージ | 安全・信頼・社会貢献 | 技術革新・走り | 若さ・自由・多様性 | 冒険・耐久・挑戦 |
| 新卒人気傾向(2025卒) | 就職人気ランキング上位常連 | 技術職・海外志向層に人気 | 理系・研究職人気が高い | 少数精鋭・挑戦型志向に合う |
5|業界の今後と就活視点
▶ ① 電動化の加速
世界各国の脱炭素政策により、EV化は避けられない流れ。
ただし、各社のアプローチは異なります。
- トヨタ:多様な選択肢(HV・PHEV・EV・FCV)で段階的に移行
- ホンダ:2040年までに全車EV化を明言
- 日産/三菱:アライアンス連携でEV/PHEV開発を効率化
電動化=技術競争だけでなく、“ブランド再定義”の戦いでもあります。
▶ ② ソフトウェア×モビリティ
自動車は「走る機械」から「走るデバイス」へ。
コネクテッド技術や自動運転・サブスク型モビリティが進化し、
トヨタの「KINTO」、日産の「NISSAN CONNECT」など、
デジタルサービスが利益源の一つになりつつあります。
この変化に対応できる IT×モビリティ人材 が今後の採用トレンドです。
▶ ③ グローバル分業とアライアンス再編
ルノー・日産・三菱連合をはじめ、
ホンダ×GM、トヨタ×スズキ など、企業間連携が急増。
単独での巨大投資が難しくなる中、
「どの地域で・どの技術を磨くか」 が企業戦略の焦点です。
三菱は「ASEAN市場での現地主導型開発」を強化し、
アジアの中堅国に根差したブランドとして独自の立ち位置を築いています。
6|編集部まとめ ― 自動車業界の“これから”を選ぶ視点
2026年卒の就活生にとって、自動車業界は依然として大きなチャンスがあります。
ただし、選び方の軸は「知名度」ではなく、「価値観との親和性」。
| あなたの志向 | 向いている企業タイプ |
|---|---|
| グローバル規模で挑戦したい | トヨタ・ホンダ |
| EV・先端技術に興味がある | 日産・ホンダ |
| 現場の泥臭さや挑戦文化に共感 | 三菱・マツダ |
| 安全・品質・安定性を重視 | トヨタ・スバル |
自動車業界は“変化の渦中”にあるが、
変化を恐れない人にこそ、最も多くのチャンスが訪れる。
🏁 編集部からのひとこと
「クルマづくりは、社会づくり。」
EVや自動運転が進む中でも、
自動車業界の本質は「人と世界をつなぐ仕事」であることに変わりません。
- モビリティの未来を構想したい
- 挑戦する企業文化で成長したい
- 技術で社会を動かしたい
そう考えるあなたにとって、
自動車業界は今なお、最も“熱いフィールド”です。



















